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くわしいことは私の専門外

くわしいことは私の専門外だから略しておくが、これが今日人間といえばいい得らるる者のいちばん古い遺骨であって、学問上ではこの人間を名づけてピテクァントロプス(猿の人)といっているそうである。しかしこれがはたして今日の人間の直系の祖先に当たるものか否かについては議論があるが、ともかく大腿骨が出たので、その構造から考えてみて、この猿の人なるものは直立していたということはわかるし、また頭蓋骨の一部が出たので、その者の脳髄も相当に発達していたということもわかる。元来われわれ人間が道具を造り出しうるに至ったのは、われわれが直立して二本の足で楽にからだをささえうるようになってからの事である。すでにからだがまっすぐになって来ると、それに伴うて二本の手が浮いて来て、全く自由なものになると同時に、頭がからだの中心に位することになって、始めて脳髄が充分な発達を遂げうるのである。――獸のように四つ足を突いて首を前に出していては、到底重い脳みそを頭の中に入れておられるはずのものでない。猩々、猿の人、曙の人(後に述ぶ)、現代人と、だんだん姿勢が直立して来るに従って、脳髄も次第に大きくなって来るありさまは、ここに挿入せる図によりてその一斑を知らるべし。――そこでその発達した脳髄でもって自由な手を使うことになったから、始めて人間特有の道具の製造が始まるのであるが、今この猿の人なるものがはたして道具を造っていたか否かに至っては、別に確かな証拠はないが、たぶん木及び石でできたきわめて幼稚な道具を使っていただろうというのが、オスボーン氏の説である*。(十月十三日)
http://www.deliask.net/ginza/

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