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弟の細君の実家

弟の細君の実家――といっても私の家の分家に当るのだが――お母さん、妹さん、兄さんなど大勢改札口の外で、改った仕度で迎いに出ていてくれた。自動車をやっているので、長兄自身大型の乗合を運転して、昔のままの狭い通りや、空濠の土手の上を通ったりして、何十年にも変りのない片側が寺ばかしの陰気な町の菩提寺へと乗りつけた。伯母はもう一汽車前の汽車で来ていて、茶の間で和尚さんと茶を飲んでいた。たった一人残った父の姉なのだが、伯母は二カ月ほど前博覧会見物に上京して、父のどこやら元気の衰えたのを気にしながらも、こう遠くに離れてはお互いに何事があっても往ったり来たりはできないだろうから――こう言って別れたのだが、やっぱしそういうことになった。
「どこで死ぬのも同じことだから、お前たちの傍で死んできて、これほどのことはない。お前たちもお互いに仕合せだった……」私たちが挨拶すると、伯母はちょっと目をしばたたきながら言った。
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