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この天つ罪と言ふ言葉

この天つ罪と言ふ言葉、国つ罪と言ふ言葉は、日本の古い神道では一番大切な言葉で、一番大事な言葉と言ふのはどの言葉か、と言はれると、必ず、昔の人は、天つ罪と言ふ言葉を挙げたと思ひます。近頃、筧と言ふ人が出て来て、「かむながらの道」と言ふ事を唱へまして、惟神と言ふ言葉が、非常に重大性重要性をおびて来ましたけれども、もつと天つ罪・国つ罪と言ふ言葉の方が、もとは皆よく知つてゐたでせう。中臣祓――大祓とも言ひますが――のうちに這入つてゐる、有力な件りでありますから。言葉の形から見ますと、天の罪・地上の罪と言ふ事になるんですけれども、私が若い時分に、柳田先生の所に通ひ始めた――通ひ始めるは可笑しいですね。通学ではないんですから(笑声)――その時分に、先生から問題として出されまして、「天つ罪と言ふものを君はどう思ふか」と言うてをられた事を覚えてをります。国つ罪と言ふ事が、地上の罪と言ふ言葉でございますならば、天つ罪と言ふ事は、天上の神の罪と言ふ事にならなければならない訣ですけれども、さう言ふ与へられた問題が、何時迄も釈けないで、憂鬱に頭にたまつてゐるんですね。人間はやはり、さう言ふ憂鬱さ、それが釈けないと言ふ憂鬱さがあつて、それが突然何かの機会に突当つて、湧然と飜然と訣つて来るのでせう。つまり、感情的な一つの解決、「悟り」ですね。多くまあその悟りに、科学的な衣を着せて、これは悟つたのではなしに、かう言ふ偉大な組織を持つた科学から、完全に出て来たのだ、と言ふやうな顔をする事になつてゐるのですけれども、根本はやはり、悟りでせうね。天つ罪と言ふ言葉を、先生に与へられたことが、ひんとになつてゐると思ひますが、どうもその後、その事は忘れてしまつてをつたやうに思ひます。
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