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抑も恋愛は凡ての愛情

抑も恋愛は凡ての愛情の初めなり、親子の愛より朋友の愛に至まで、凡そ愛情の名を荷ふべき者にして恋愛の根基より起らざるものはなし、進んで上天に達すべき浄愛までもこの恋愛と関聯すること多く、人間の運命の主要なる部分までもこの男女の恋愛に因縁すること少なからず。左れば文人の恋愛に対するや、須らく厳粛なる思想を以て其美妙を発揮するを力むべく、苟くも卑野なる、軽佻なる、浮薄なる心情を以て写描することなかるべし。
 高尚なる意あるものには恋愛の必要特に多し、そは其心に打ち消す可からざる弱性と不満足と常に宿り居ればなり、恋愛なるものはこの弱性を療じ、この不満足を愈さんが為に天より賜はりたる至大の恩恵にして、男女が互に劣情を縦にする禽獣的慾情とは品異れり。プラトーの言へりし如く、恋愛は地下のものにはあらざるなり、天上より地下に降りたる神使の如きものなることを記憶せよ。野外に逍遙して芬郁たる花香をかぐときに、其花の在るところに至らんと願ふは自然の情なり、其花に達する時に之を摘み取りて胸に※まんとするも亦た自然の情なり、この情は底なき湖の如くに、一種の自然界の元素と呼ぶより外はなかるべし、之を打つとも破るべからず、之を鋳るとも形すべからず、之を抜き去らんとするも能くすべからず、宇宙の存すると共に存する一種の霊界の原素にあらずして何ぞや。
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